あの日、小猫と出会ったから
変わりたい
「ねえ、ジェイミーも一緒にレシュノルティアに来てよ。父様と母様にも会って欲しいの」
もう一泊、の次にシェリフ殿下がのたまった我儘は『両親に紹介したいから国に来て』だった。
ナイジェルに無理矢理押し付けられた、ルームサービスのおっそろしく高いジュースに恐々と口を付けつつ、俺はひらひら右手を振って返事をする。
「いや、気持ちは有り難いけど、それは無理」
「どうして無理なの?」
「どうしてって、一般常識的に有り得ないから、それ」
一介の孤児が、他所の国の、しかも王様に会うとか有り得ない。いまこうして王子達とタメで喋ってること自体、奇跡に奇跡が重なった夢物語だ。
しかし、予想に違わず、純粋過ぎる瞳は純粋過ぎる問いを投げかけてくる。
「どうして有り得ないの?」
「どうしてって……」
多分、真面に答えても『関係ないよ、同じ人間でしょ?』が返ってくる。どうしたものかと苦笑していると、ナイジェルが弟の頭をぽふっと撫でてたしなめた。
「我儘も大概にしろよ、シェリフ。ジェイミーが困ってるだろ」
「だって……」
しゅん、と俯いてシェリフはぽつりと呟いた。
「……たの、初めてなんだもん」
「何が初めてなんだ?」
真顔で聞き返すナイジェルには、シェリフの言葉が聞こえなかったらしい。
『友達出来たの、初めてなんだもん』
ナイジェルが言っていた。人見知りをするシェリフには友達が少ないと。でもシェリフの言葉からすると、はっきり友達だと言える人は今まで居なかったようだ。
俺が、小猫の友達第一号。とても嬉しい。嬉しいのだが、そこはかとなく心配になる。
「いつか人攫いに遭いそうだ」
「なに? ジェイミー」
「いや」
勘は良い奴だから、それは無いか。要らぬ心配……だといいが。
もう一泊、の次にシェリフ殿下がのたまった我儘は『両親に紹介したいから国に来て』だった。
ナイジェルに無理矢理押し付けられた、ルームサービスのおっそろしく高いジュースに恐々と口を付けつつ、俺はひらひら右手を振って返事をする。
「いや、気持ちは有り難いけど、それは無理」
「どうして無理なの?」
「どうしてって、一般常識的に有り得ないから、それ」
一介の孤児が、他所の国の、しかも王様に会うとか有り得ない。いまこうして王子達とタメで喋ってること自体、奇跡に奇跡が重なった夢物語だ。
しかし、予想に違わず、純粋過ぎる瞳は純粋過ぎる問いを投げかけてくる。
「どうして有り得ないの?」
「どうしてって……」
多分、真面に答えても『関係ないよ、同じ人間でしょ?』が返ってくる。どうしたものかと苦笑していると、ナイジェルが弟の頭をぽふっと撫でてたしなめた。
「我儘も大概にしろよ、シェリフ。ジェイミーが困ってるだろ」
「だって……」
しゅん、と俯いてシェリフはぽつりと呟いた。
「……たの、初めてなんだもん」
「何が初めてなんだ?」
真顔で聞き返すナイジェルには、シェリフの言葉が聞こえなかったらしい。
『友達出来たの、初めてなんだもん』
ナイジェルが言っていた。人見知りをするシェリフには友達が少ないと。でもシェリフの言葉からすると、はっきり友達だと言える人は今まで居なかったようだ。
俺が、小猫の友達第一号。とても嬉しい。嬉しいのだが、そこはかとなく心配になる。
「いつか人攫いに遭いそうだ」
「なに? ジェイミー」
「いや」
勘は良い奴だから、それは無いか。要らぬ心配……だといいが。