恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
「母さん、俺が莉佐もお腹の子も守っていくから。信用してほしい」

「彼女と結婚するの?」

「まだプロポーズしてないけど、俺はそうしたい」

 三人から一斉に視線を向けられたけれど、私はどう反応していいのかわからず、言葉が出てこなかった。
 たしかに子どものことを考えれば、きちんと入籍するほうがいいと私も思う。だけど社長とお母様は認めてくださるだろうか。

「莉佐はいつでも自分のことは後回しで、今だって自分がどうなるかよりも、ショックを受けた母さんを心配してる。そういう(ひと)なんだよ」

 唯人さんが言葉にした私の性格は、自分自身ではあまり自覚はないけれど、他の人にもよく指摘される。

「だいたい、母さんとうまくやれるのは莉佐しかいない」

「どういう意味よ」

「莉佐はさ、母さんのこと、やさしい部分もあるはずだから嫌いじゃないって。初対面でキツい言葉を浴びせられても、はっきりそう言ったんだ。すごくないか?」

 今のは、私の部屋に唯人さんが泊まったときのふたりの会話だ。

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