恋する理由がありません~新人秘書の困惑~
「俺、母さんに莉佐も子どもも取られそうだ」
「あはは。ヤキモチですか?」
私は冗談めかしてみたけれど、唯人さんはそれをよそに軽く頭を抱えた。
お母様と私が仲良くするのは、よろこばしいはずなのに。
「会社は辞めるのか?」
「はい。深沢部長には明日お話しします。唯人さんとは、これからは一緒に仕事をするのではなく、違う形でふたりの時間を過ごしていきたいです」
少し前、異動になるのを怖がっていたとき、私はなにより唯人さんとの関係がダメになるのではと不安だったのだ。
物理的な距離が精神的な結びつきも壊すような気がしていたのだと思う。自分に自信がなかったから。
だけど私たちには別の関係性ができた。副社長と秘書ではなく、もっと強固なものが。
そしてふたりにとって、なにを置いても守りたい存在ができた。
「莉佐、今から俺が言うふたつのことだけ、聞き入れてくれないか」
唯人さんにも私に要望があって当然だ。どのような内容か想像はつかないものの、私は真剣な顔で耳を傾けた。
「あはは。ヤキモチですか?」
私は冗談めかしてみたけれど、唯人さんはそれをよそに軽く頭を抱えた。
お母様と私が仲良くするのは、よろこばしいはずなのに。
「会社は辞めるのか?」
「はい。深沢部長には明日お話しします。唯人さんとは、これからは一緒に仕事をするのではなく、違う形でふたりの時間を過ごしていきたいです」
少し前、異動になるのを怖がっていたとき、私はなにより唯人さんとの関係がダメになるのではと不安だったのだ。
物理的な距離が精神的な結びつきも壊すような気がしていたのだと思う。自分に自信がなかったから。
だけど私たちには別の関係性ができた。副社長と秘書ではなく、もっと強固なものが。
そしてふたりにとって、なにを置いても守りたい存在ができた。
「莉佐、今から俺が言うふたつのことだけ、聞き入れてくれないか」
唯人さんにも私に要望があって当然だ。どのような内容か想像はつかないものの、私は真剣な顔で耳を傾けた。