バーテンダーに落ちて酔わされ愛されて


また温めて冷やさなきゃ明日も悲惨な顔になっちゃう。


はぁ、と溜め息を吐いてベッドに体を預けて仰向けになる。
脳裏に蘇るのは美男美女でお似合いのあの2人の姿。


どう足掻いても叶わない、諦めるしか道はないし、もうユアのことは忘れよう。



あたしはそう決めた。難しいかもしれないけど無理じゃない。

新しい恋さえできればきっとなんてことはない。


そんなことを思いながらタイマーをセットして軽く眠りについた。







___ピピピピピ


「ん…あー…」


手探りで五月蝿いアラームを消して起き上ればゆっくりと動き出す。

アラームをセットしたのは他でもない、ショーマのお店に行くからだ。


今日も今日とてあたしは飲む。

そうと決めていたあたしはさっさと準備をしてショーマのお店に向かった。



「今日も来たわけ?」

「テキーラ・サンセット」



今日も昨日同様同じ飲み物を頼むあたしの心情を知らないわけがないショーマ。


溜め息をついてちょっと呆れた顔をしてる。


「ショーマさぁん」なんて女の人の甘い声に呼ばれているにも関わらず、「待っててくださいね」と優しい声で待てをさせてあたしを優先するショーマは好き。



「で、今日も泣いた?」

「そうだよ、だから…テキーラ・サンセット」

「はいはい」




仕方ないと言うようにあたしの飲み物を作りながら、さっきの女の人と会話をして注文を受けるショーマ。


そんなショーマに頬を染めてうっとりするお姉さんはとっても綺麗な人で、大人な女性って感じ。


あたしが太刀打ちできるようなレベルじゃない。


まず太刀打ちしようとも思わないけどね、即白旗上げる。



「ねぇショーマさん今度のお休みはいつ?」



そんなお姉さんに口説かれてるショーマ。



「休みですか?俺この店の主だから休みなんてないようなもんだって知ってるでしょう?」

この光景は別に珍しいものなんかじゃない。




「知ってる。けど、1日も休みがないなんて嘘ね…少しくらいあるでしょう?」




むしろ毎日いろんな女性に口説かれているし、あんなイケメンを口説かない女性はいないんじゃないかってくらい口説かれてる。




「まぁ…ないわけではないですね」




そして何故かいつもあたしはその女性たちに睨まれる。


何故!?ショーマにはあんな熱い視線を送っておきながら、あたしには冷たくて怖い視線送るって可笑しくない?


あたしはショーマなんて狙ってないからじゃんじゃん攻め込んでいけばいいのに。




「じゃあ、連絡先だけでも教えて…?」


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