毒吐き幼なじみはときどき甘い。



さっき突然泣き出したのといい、


意外に、昔の泣き虫な昴くんがまだいるのかな。



汗ばんだ昴くんの前髪をそっとよけたら、


昴くんがぎゅ、と握る手に力を込めた。




「……千花」



「ん?」




「俺……千花のこと守れてる…?」




「……え…」




昴くんに守られた覚えなんてないけど…



あ、もしかして。




「風邪もらったくらいで守ったとは言わないから」




一昨日助けてくれたことも含めてかもしれないけど。



でも、たった1日だけで守られたなんて思わないからね。




「……それだけじゃ、ないんだけど…。

……まぁいいや…そういうことで」




そう言った昴くんは、「眠いから寝る」と言って目を閉じた。



…なんか腑に落ちないけど、眠る昴くんを起こすのも悪いと思ったから「おやすみ」とだけ返した。




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