毒吐き幼なじみはときどき甘い。




もしかして、寝てる間もずっと握ってた…?



来た時よりも穏やかな寝息をたてて眠っている昴くんの横顔を見ながら、



ちょっとだけ、その手を握り返した。




「あら。
やっぱりお客さん来てたのね」



「!!」




突然背後から声が聞こえて、


ぶんっ!と勢いよく昴くんの手を振り払った。



昴くんのお母さんがいつの間にか2階にあがってきていて、いつの間にか昴くんの部屋の扉を開けていたのだ。




「あら?
あらあらあらあら!
ちょっと!千花ちゃんじゃないの!」



「あ、こ、こんにちは…」




しまった。“こんばんは”だったかもしれない。




「久しぶりねぇ〜!
最後にうちに遊びに来たの、何年前かしら?」



「あ…お、覚えてないです…」




あはは、と笑顔を向けると



後ろで昴くんが「う…」と声を出した。




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