毒吐き幼なじみはときどき甘い。
なんで昴くんにそんなこと言われないといけないの!?
じろ、と昴くんを睨むと、
私の頬をつねっていた手が離れた。
昴くんが離してくれたわけじゃないけど。
「昴、
千花ちゃんに気安く触んないで」
雪森くんが昴くんの手首を掴んで、
昴くんはチッと舌打ちすると、乱暴に手を振り解いた。
「……なんでだよ。
触るくらい昔からだろ」
「昔から、
俺は昴が千花ちゃんに触れるのは好きじゃなかったし」
雪森くんがバタン、と大きく音をたてて靴箱を閉じる。
しん…と静まり返る場に、
「……へっくしょい!!」
私の特大くしゃみが響いた。