導かれて、放れられない
少し休憩し、夜が更けた頃。
桔梗のアパートに来ていた。
「ごめんね。
結局、遅くなったね」
「いえ…
天聖さん、お茶飲みながら待ってて下さいね!」
「うん、でも手伝うよ?」
「大丈夫でーす!」
天聖は部屋の中を見渡した。

桔梗らしい、可愛い部屋だ。
フッと可愛らしい箱に目が行く。
「桔梗~これ、何?」
「へ?何ですか?
━━━━━━!!!
あ、それ!ダメです!見ないで!」
「は?そう言われると気になる!
見せて?」
立ち上がった天聖が箱を高く上げる。

「ちょっ…返してください!」
必死に背伸びしたり、飛んだりしながら箱を取り返そうとする、桔梗。
「や~だ!可愛い~桔梗」
天聖は箱を高く上げた状態で、箱を開け中身を見た。
「見ても、いいもんじゃないですよ?」

「アクセサリー?
これがなんで、いいもんじゃないの?」
「あ、それは……」
「あれ?手紙?」
「あっ、それ!」
天聖は手紙を開けた。

「━━━━━!!!」
天聖の手紙を持つ手が、震えていた。
「返してください」
手紙を奪う、桔梗。

「それ、もしかして…じゃあ…アクセサリーも?」
「はい…捨てられなくて……」

箱の中身は、桔梗の元彼からの手紙とプレゼントされたアクセサリーが入っていた。
【桔梗へ
誕生日おめでとう~!!
大好きだよ。
貴士】

「捨てて?」
「え?」
「……って、ごめん。俺が無理やり見たのに……」
「………捨てます!」
「え?ごめん!違うんだ…なんか、咄嗟に……」
「彼、亡くなったんです」
「え?」
「事故ってゆうか、喧嘩に巻き込まれて……
だから、なんか忘れられなくて……
でも、どっちにしても…別れるつもりだったし、天聖さんに出逢って、もう天聖さんしか考えられないですから」
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