導かれて、放れられない
「え?これは、天聖さんに━━━━━」

ブーッブーッブーッ……
そこへスマホが震え出した。
「あ、すみません!じゃあ…私はこれで……」
「はい、ありがとうございました」

「もしもし」
『桔梗?そんなことで何してるの?』
「はい?」
『まだ家に帰ってないのは、バレバレだよ』
「え?どうして…?」
『俺には隠し事はできないよ。今そっちに向かってるから待ってて』
「はい…」
そこで通話を切った。
「なんで、わかったの?」
とりあえず、買ったプレゼントをバックに入れてデパートを出た。


天聖が来るのを待っていると、三人組のチンピラに声をかけられた。
「お前が、天聖の女?」
「え?」
グッと手を引っ張られた。

「この辺にいるって情報が入ったんだよ……」
「痛いです!離して下さい!」
振り払おうとするが、びくともしない。
「てか、こんな地味な女があの天聖の女か?」
「あーそうだよな……」

地味なんて酷いと思ったが、このまま勘違いしてくれれば助かるかも?と思った桔梗。
「私は……私の恋人は天聖さんです!
いけませんか?」
私はバカだ。恋人じゃないと言えばいいのに、例え嘘でも天聖の恋人ではないなんて言えなかったのだ。

「へぇー、あの天聖がね……」
「でもよ、よく見ると…可愛いじゃん!」
「俺達さぁ、天聖にかなり傷つけられたんだよなー
君が代わりに落とし前つけてくんない?」
「え?」
「一発ヤらしてよ!そしたら、天聖のこと許してあげるよ!」
「え?そんな……」

「じゃないと、天聖のこと傷つけちゃおうかな~?」
「嘘……」
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