導かれて、放れられない
朝、桔梗が目を覚ますと天聖はまだ眠っていた。
桔梗はその綺麗な寝顔を見て笑みを浮かべた。

「安心してくださいね、天聖さん。
私が好きなのも、一緒にいたいのも、エッチなことしたいのも、天聖だけです」
そして桔梗は、天聖の口唇にキスをした。
口唇を離し天聖の口唇をなぞっていると、スマホが震えた。
メールのようで、確認する。

【桔梗ちゃん、おはよ。
今日もよろしくね~!仕事、一緒に行かない?】
「は?なんで……
とにかく、断らなきゃ……」
断りの返信をしようと操作していると……

「何を断るの?」
「え…?あ、天聖さん!おはようございます」
桔梗の背中からノシッと寄りかかるように抱きついてきた、天聖。
「んー、おはよ…桔梗」

「あの…天聖さん…重いです……」
「フフ…ごめんね…!
で?断るって何?メール?」
「え?あ、いや……」
しどろもどろになる、桔梗。

「見せて?スマホ」
「だ、ダメです!」
「桔梗、怪しい……男?」
「え?あ、いや…」
「わかりやすっ!
見せて!!男からなら、益々確認しないと……!」
天聖はそう言って、後ろから右耳を甘く噛んだ。

「ヒヤッ…!」
桔梗は突然の衝撃的な行為に、思わずスマホを落とす。
「はい!スマホ、ゲット!
━━━━━━
ふーん。コイツ何者?」
そう言って、画面を桔梗に見せた。

「北林さんっていう社員さんです」
「へぇー、このメールから察すると好意もたれてるよね?」
「え?」

「告白されたのか……」
「え?なんで、それ……」
驚いて、天聖を見つめる桔梗。

「桔梗って、わかりやすいからすぐわかる。
だから、言ったよな?
俺に隠し事なんて無理って!」
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