導かれて、放れられない
「は?そんな理由で…?
酷い…!早く止めてください!」
「あ?」
男の服を掴み、懇願する桔梗。

「お願いします!こんなのおかしい!」
「なんだよ、お前!
俺は虎尾組の人間だぞ!」
「え……?」

天聖さんの……?

桔梗は信じられない気持ちで、店内を見渡した。
これが……天聖のいる世界だというのか。
ただ、むしゃくしゃしたからという理由でお店をめちゃくちゃにする。

こんな理不尽な事をするのが━━━━

桔梗は、男達の元に駆けつけた。
そしてママの前に立って、男達を見据えた。

その頃の天聖。
「若!桔梗さんが…!?」
天聖がVIP席を出て、出入口の方を見ると桔梗が男達と対当していた。

「何~?君」
「やめて下さい!」
「はぁ?」
「こんな理不尽な事……」
グッと顔を近づけた、男。
「君さぁ、誰に向かって言ってるの?
俺は、虎尾━━━━」
ガン━━━━!!

「お前こそ、誰の恋人に向かって言ってんの?」
気づくと天聖が男の首の後ろを掴み、放り投げていた。
「てめぇ……あ、あなたは……」
「ちょうどいいや!
俺さぁ…今、絶賛嫉妬中だから、発散させてよ!」
「お前、天虎会の!?す、すみません!」
「うちの組の連中は、こんな卑怯なことする奴いないはずなんだけど?
なんでお前等、虎尾組を名乗ってんの?」
「それは……」
「親父、怒るだろうなぁ~。
親父、ここのママのこと気に入ってたし。
店傷つけたって知ったら……
増見、親父呼んで」
「はい」

増見の連絡により、聖二郎が現れた。

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