とろけるような、キスをして。



「このまま一人だったらどうしようかと思ってました。だからありがとうございます」


「いえ、私はタイミング良く拾ってもらっただけで」


「ふふっ、じゃあ私たち、そういう意味では一緒ですね」


「そうですね」



 東京から戻って来たのも、紹介してもらって今ここにいるのも、共通点が多いこともあり、仲良くなるのに時間はかからなかった。


あまり人付き合いが得意でない私でも、千代田さんのフレンドリーさに引っ張られるように会話が弾む。



「まずは私たちの仕事内容を詳しく説明しますね」



 面接の時に粗方仕事内容は聞いていたものの、実際に千代田さんからリストアップした用紙を見せてもらうと、中々の仕事量だった。


学校の備品管理から生徒たちの授業料や単位の管理。もちろん入学や卒業、受験に関する細かい作業も全て担っている。


経理関係も行うらしい。そこは慣れている千代田さんがやってくれるとのこと。


 他にも教職員の勤怠に関してや証明書の作成など、多岐に渡っていた。



「覚えることがたくさんあるので、マニュアルも作れるものは作ってみました。これでわかればいいんですけど」


「ありがとうございます!見ながらやってみて、わからなかったらお聞きしますね」


「そうしてくれると助かります」



 渡されたファイルには各種手続きの流れや書類のテンプレート、データの作成方法にその提出先まで綺麗に纏められていた。


なんてわかりやすい。


ありがたく受け取って、出来るところから仕事を始める。

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