とろけるような、キスをして。



「皆同じ驚き方するんだよ。そんなに俺に調理部って似合わないかなあー?」


「似合わないって言うか、意外だっただけ」


「そう?」


「うん。修斗さんはバリバリスポーツやってるイメージだったから」



 確か運動神経は昔から良かったはず。体育祭で走らされてるの見た時、すごく早かった記憶がある。



「ははっ、よく言われる。けど俺そんなにスポーツ得意じゃないよ?短距離がちょっと得意だっただけ。学生時代もずっと帰宅部だったし」


「え、そうなの?」



 サッカーとか、バスケとか、それこそ陸上とか。そういうのが似合いそうなものなのに。



「まぁ、どっちにしても休み無くなる顧問は嫌だったし、でも何も顧問してないとさすがに上からの圧がすごくて居づらくなってきて。そんな時に生徒に暇なら顧問やってくれって調理部誘われて、二つ返事で承諾したってわけ」


「へぇ……」


「まぁ、活動は週に三回だし、俺のやることと言えば家庭科室の鍵の管理と火の元のチェックくらい。後は味見要員だから、何の問題も無いよ」



 なんだ。修斗さんが料理するわけじゃないのか。


修斗さんがエプロン姿で料理しているところを少し想像してしまって、また口元が緩む。


 ……でも、そっか。調理部ってことは、女の子ばっかりだよね?


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