とろけるような、キスをして。
黙々と作業をすること数時間。
何回目かのチャイムの音が響き、私と千代田さんは揃って顔を上げた。
「午後の授業、始まりましたね」
「ですね。私たちも軽く食べましょうか」
「はい」
食べている時間も惜しいけれど、空腹では集中力が持たない。
受験に関することはこちらもミスが許されないため、二重確認、三重確認が必須だ。
後で千代田さんや田宮教頭にもチェックしてもらうため、段ボールに入った返送用の封筒が山のように増えていく。
ここで食べて万が一書類に何かがあっては大変。そのため事務室に鍵をかけて、食堂へ向かう。
冬休み中は好きな時間に食べられたものの、学校が始まった今は生徒たちで混み合う食堂を避けるため、事務室で食べるかこうして時間をずらして食堂に行くかの二択だった。
今日は後者だ。二人で身体を伸ばしながら、気分転換を兼ねて歩いて向かう。
その道中、階段を降りている時に、近くの教室から声が聞こえて無意識に視線をやる。
三年生のクラスでは、数学の授業が行われていた。
「……あ、深山先生の授業みたいですね」
「……ですね」
「私、先行ってますね?」
「え?」
小さく笑ってから、千代田さんは先に階段を降りていく。
それに唖然としながら、私はもう一度教室の方に意識を向けた。