とろけるような、キスをして。



「……でもそれなら私、教師にならなくて良かった。反対を押し切って東京行って良かった」


「え?」


「教師になったり、東京行かないでこの町で皆に支えられて生きてたら、多分今こうやって修斗さんと一緒にいなかったと思うから」



 周りの人の温かさも、そばに誰かがいてくれる喜びも、愛する人と一緒にいられる幸せも。


周りに恵まれていることにすら全部気が付かないまま、知らないまま、どうしようもなく自堕落な生活をしていたことだろう。



「確かに。俺もみゃーこが東京行かなかったら、自分の気持ちに気付いてなかったかも」



 確かに苦しかったし、しんどかったけれど。
向こうでの生活も、無駄ではなかったということだ。



「ありがとう修斗さん。私を見捨てないでくれて」


「見捨てるわけないだろ?俺にとっては、みゃーこが一番大切なんだから。むしろこっちがありがとうだよ。俺を選んでくれて、ありがとう」



 どちらからともなく重なる唇。


触れるだけのキスから、徐々に深く、濃密になっていく。


 ぬるりと入り込んできた舌が、私の口内を味わうように動いていた。


ほんの少し身体を離して、数秒見つめ合う。



「……いい?」



 コクリと頷くと、手を引かれて私の寝室へ向かう。


部屋に入ると同時にドアに押し付けられるように抑えられ、もう一度濃密なキスが降ってくる。


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