とろけるような、キスをして。
「晴美姉ちゃん、すっごい綺麗だよ」
「ふふ、ありがとう美也子。美也子も振り袖、似合ってるよ」
「そう?ありがとう」
「美也子は成人式も出なかったでしょう?振り袖着るのも初めてじゃない?」
「うん。多分これが最初で最後だと思う」
「それはもったいないよ。こんなに綺麗なのに」
「お世辞はいいって」
「もう、本当なのに!」
「今日の主役は晴美姉ちゃんでしょ!私のことはいいから!」
お互いを褒め称えているうちにそろそろ私は会場に向かう時間になる。
「晴美姉ちゃん。今日の式と披露宴、楽しみにしてるね」
「うん!ありがとう!」
手を振って新婦控室を出た私は、一足先にチャペルへと向かう。
ちょいちょい、と手招きされて向かうのは新婦親族の席。
「美也子ちゃん、久しぶりね」
「ご無沙汰しております。招待してくださって本当に嬉しいです。今日はおめでとうございます」
「あら、そんな他人行儀は寂しいわ。美也子ちゃんも私たちの家族なんだから、もっと砕けていいのよ?すっかり大人の女性になっちゃって。見違えたわ」
「はは……、ありがとうございます」
晴美姉ちゃんのお母さんは、私のお母さんの姉だ。
他の親族にも挨拶をして、私は親族席から二列後ろに座る。
あくまでも私は親戚だから、新婦の親族席に座るのは少し気が引けた。