とろけるような、キスをして。



「そうだ。今朝ね、晴美姉ちゃんにも、仕事辞めてこっちに戻ってこようと思ってるって伝えたよ」


「そうか。四ノ宮先生、何か言ってたか?」


「なんでもっと早く相談してくれなかったのかって、すごい怒られた」


「ははっ、四ノ宮先生らしいわ」



 朝、起きてすぐに晴美姉ちゃんからの着信があった。



"昨日は酔ってて美也子の話聞けなかった!ごめんね!何か話あったんだよね?"



 晴美姉ちゃんに、昨日先生に話したことをそのまま相談したら、



"今すぐ帰ってきな!私も美也子が働けるように深山先生と一緒に掛け合ってみるから!私たちに任せて!"



と、鼻息荒く宣言してくれた。


 そして今度からはもっと早くに相談するようにと念を押されてしまった。



「でも心配してくれてるのがわかるから、ちょっと嬉しかった」


「そっか。良かったな」


「うん」



 社会人になると、本気で私のことを心配して叱ってくれる人なんて一人もいなかった。


晴美姉ちゃんや深山先生のような存在がどれほど貴重でありがたいか。


 この歳になってやっと気が付いた自分が情けないし、恥ずかしい。



「飛行機は最終便だっけ?」


「うん。えーっとね、夜の……十九時の便」


「それって向こうの家に着く頃には何時なの?」


「東京まで飛行機で一時間半くらいあるから……そうだなあ、そこから電車乗っても二十二時までには着くと思うけど」



 頭の中でざっくりと計算すると、先生は急に心配そうな目つきになる。

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