とろけるような、キスをして。



「ご両親に報告できた?」


「んー……いろいろ言いたいことがありすぎて、二割も言えなかった」


「そっか。じゃあまた、こっちに帰ってきた時にまた来ればいい」


「うん。そうだね」



 その時は、一人で来れるだろうか。


いつまでも先生の優しさに甘えているわけにはいかない。


……強く、ならなくちゃ。



「先生、行こ」


「あ、また"先生"に戻ってる」


「いいじゃん。ここ誰もいないんだし。もう帰るんだから」


「えぇー……。もうずっと修斗さんって呼んでよー。呼び捨てでも良いよ?君付けでも良いよ?」


「なんで」


「だって"修斗さん"って呼んでるみゃーこが可愛いから」


「っ、却下!」



 いたずらっ子みたいに笑ってるならまだしも、優しい笑顔で言われたら、本気にしちゃうから。



「可愛いとかっ、そういうことは軽はずみに言っちゃダメなんだよ先生!女の子は皆勘違いしちゃうから!」



 そういうタラシみたいな発言すると、勘違いした女の子がたくさん寄ってきちゃうんだから。
……あ、だから先生は昔からあんなに人気なのか!?



「……勘違い?それって、みゃーこも勘違いするってこと?」


「なっ!?」





「みゃーこなら、勘違いしてもいいよ?」


「っ!?」


「だって、そうしたらみゃーこは俺のこと、好きになってくれるってことでしょ?」


「な、なにを……」


「可愛いって言うだけでみゃーこに好かれるなら、俺いくらでも軽はずみなこと言っちゃうかも」



 この人は一体何を言っているのだろう。


そんな嬉しそうな、満面の笑みで。


私になら勘違いされてもいいって?それって、私に先生のことを好きになってほしいってこと?


なにそれ、意味わかんないんだけどっ……。



「ははっ、顔真っ赤。本当可愛いなあ、みゃーこは」


「……うるさい。教師が生徒にそういうこと言っていいの?」


「みゃーこはもう卒業してるから問題無いでしょ」



 私が何も言えないのをいいことに、先生は嬉しそうに笑っている。


からかうのもいい加減にしてほしいものだ。



「お、そろそろ出ないと時間間に合わないな」


「え、本当?」


「うん。もう十六時になるよ」


「やば。行かなきゃ」



 小走りで駐車場まで戻り、車に乗り込んだ。


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