とろけるような、キスをして。



「さっき控室行ってきたら、晴美姉ちゃんすごい綺麗だった」


「そりゃあ新婦だからな。そう言うみゃーこも振り袖似合ってるよ。後ろ姿じゃ最初誰かわかんなかった」


「馬子にも衣装って言いたいの?」


「まさか。元々の可愛い顔がさらに引き立ってるって言ってんの」



 先生は昔から、こうやって私をからかってくる。


 先生に可愛いって言われたって、お世辞にしか聞こえない。



「お世辞はいいから」


「お世辞じゃねーよ。……本当、大人っぽくなって。綺麗になったじゃん」


「なっ……何言ってんの」


「ん?事実だけど」


「……うるさいなあ」



 まじまじと顔を見られて褒められると、さすがに恥ずかしい。


 照れ隠しにそっぽを向くと、先生は面白そうに笑った。


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