とろけるような、キスをして。



「新婦が入場します」


 アナウンスと共に扉が開き、自身の父親と腕を組んで入場した晴美姉ちゃん。


 バージンロードを一歩ずつ歩く姿はやはりとても神秘的。美しいという言葉がよく当てはまる。



「……綺麗」


「そうだな」



 結局私は、当たり前のように隣に陣取った先生と一緒に参列することになった。


 式は滞りなく進み、誓いの言葉を経てキスを交わす。


晴美姉ちゃんには昔からお世話になりっぱなしだったから、嬉しいのと少し寂しいのとでなんだか気持ちがぐちゃぐちゃになりそうだった。


 その後は披露宴。


 先生と一緒に会場に移動すると、私の席はまたまた先生の隣だった。親族席には恐れ多くて座れないと言った私のために仕事関係者のテーブルに席を用意してくれたらしい。



「お、隣じゃん」


「知ってる人が隣で良かった」



 いくら地元とは言え、晴美姉ちゃんとはそこそこ歳も離れているから共通の知り合いなんてほとんどいない。一人ですみっこの方で参列すればいいかと思っていたものの、やはり知っている人の隣は安心するもの。晴美姉ちゃんの配慮に感謝せねば。


披露宴の間は先生がたくさん話しかけてくれたおかげで、楽しく参加できた。


 二人の生い立ちを振り返るスライドショーでは、晴美姉ちゃんが私の子守りをしている昔の写真が出てきたり、深山先生や他の先生方と一緒に写っている写真が出てきたり。時折指差しながら先生と笑い合う。


 終盤の新婦から両親への手紙に感動して泣きそうになったりもした。


 うっすらと滲んだ涙を拭いた後。写真撮影の時間では晴美姉ちゃんとツーショットも撮ることができて大満足だった。


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