とろけるような、キスをして。



 カメラマンさんにも撮ってもらい、私のスマートフォンでも撮ってもらい。晴美姉ちゃんも自分のスマートフォンで撮ってもらっていた。


 後で撮った写真を送り合おう。そう思って席に戻ろうとすると、晴美姉ちゃんが思い出したかのように



「美也子、せっかくだから深山先生とも写真撮ったら?」



と笑顔を向けた。



「え?」


「振り袖姿、どうせ写真撮ってないんでしょ?」


「それはそうだけど……」


「深山先生も美也子と写真撮りたいでしょ?」



 まさか、そんなわけないでしょ。


そう思って晴美姉ちゃんに断りを入れようとしたら。



「確かに。撮りたい」


「え!?」



 まさかの返事に、固まった。



「ほら、美也子!深山先生!私が撮ってあげる!」



 晴美姉ちゃんにそう言われて、断る間も無くノリノリの先生が私を引き寄せる。


 ぴったりと先生にくっついた肩が、やけに熱く感じた。



「ほら、美也子もっと笑って」


「え……うん」



 何故か晴美姉ちゃんが写真を撮ってくれて、よくわからないけど先生につられるようにカメラにぎこちない笑顔を向けた。


 何故今日の主役が私たちにカメラを向けているのか、その主役がとても楽しそうだから聞くのはやめた。



「後で送っとくねー!」



 そう言って晴美姉ちゃんはすぐに他の人との写真の時間になり、今度は撮られる側に戻っていた。


< 7 / 196 >

この作品をシェア

pagetop