とろけるような、キスをして。



「じゃあ寝よ。俺さっき寝たばっかだからまだ眠い……」


「え、ずっと起きてたの?」



 スマートフォンで時間を確認したら、午前三時を回ったところだった。


さっきって、いつ?ずっと起きてたの?


 すぐに寝室に戻り、ベッドに腰掛けた先生は目を数回擦る。


そしてとろんとした、甘い目で私を見つめたかと思うと、私の手を引いてぎゅっと抱きしめてきた。



「んー……だって、俺に抱きついて寝てるみゃーこがあんまりにも可愛いから……俺と同じシャンプーの匂いするしさ……寝顔可愛いしさ……そんなんもう寝られないでしょ。理性保つのに必死だよ……」


「え、な、えっ」


「だから早く寝よ。あー……俺もうこれ病みつきかも。みゃーこが可愛すぎる。みゃーこの甘い匂い大好き。すっげぇ落ち着く。ダメだ。離したくない」



 言うが早いか、そのままベッドに倒れるように横になり、私を抱きしめたままもぞもぞと器用に布団に入る。


そしてすぐにまた寝息を立て始めた。


 しっかりと背中に回った腕。私は頭の中が飽和状態になってしまい、されるがままだった。


 先生は、やっぱり寝ぼけていたようだ。それか夢でも見てた?夢の中だと思ってた?


そうだ。きっとそうだ。そうじゃないと、先生がこんな私に、そんな……抱きしめたり、恋人に言うような甘いセリフを言うとは思えない。
だって、私は生徒で、先生は教師で。


 いくら卒業したからって、そんな……、そんな関係になるわけないじゃない。


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