とろけるような、キスをして。



 先生だって、私を生徒として可愛がって心配してくれているだけで、それ以上の特別な意味なんて、無いんだから。きっと、朝起きたらいつも通り私をからかうみたいに笑うんだろう。うん。きっとそうだよ。


そう思っていないと、勘違いしてしまいそうで。


そうやって自分を納得させないと、先生が私のことを生徒以上として見てるんじゃないかって、錯覚してしまいそうで。


 でも、それを直接聞けるほど私には心の余裕も無いし、覚悟も無い。



"みゃーこなら、勘違いしてもいいよ?"



 あれは、一体どういう意味だったんだろう。


……もう、寝られないよ。先生の馬鹿。


 気持ち良さそうに眠っている顔。その幼い表情を見つめながら、頬をきゅっとつねってみる。
そんな私のせめてもの抵抗に、先生はほんの一瞬眉を顰めただけで。


はぁ。とため息を吐く。


 悔しいから、眠れないけど目を閉じてみる。


するとどうだろう。不思議なことに、再び眠くなってくる。


先生の甘い香りには、リラックス効果でもあるのだろうか。


そう思ってしまうくらい、私はまたすぐに眠りに落ちてしまうのだった。



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