とろけるような、キスをして。



「お弁当箱とかある?」


「あ、無いや」


「じゃあタッパーとか」


「それならある!」



 タッパーにラップを敷いて、その上に用意したおかずを並べていく。


三日も泊めてもらうんだから、せめてこれくらいのお礼はしないとね。


蓋をして、その間にスーツに着替えてきた先生にお弁当を渡す。



「はいこれ。美味しいかどうか、自信無いんだけど」


「大丈夫。絶対美味いの知ってるから。ありがとう。……なんか、こうやってると新婚みたいだな」


「ふふっ、私もそれちょっと思った」



 一緒に寝て、朝起きて、朝食を作って、一緒に食べて。お弁当を作って渡して送り出す。


専業主婦みたいだなって、ちょっと思ってた。



「あ、そうだ、みゃーこ。これ」


「ん?」


「ここの合鍵。今日も実家行くんだろ?これ使っていいから」


「ありがとう」


「今日は暗くなる前に仕事終わるはずだから、そしたら迎えに行くからスマホ忘れずに持ってって」


「わかった。気を付けてね。お仕事頑張って!行ってらっしゃい」


「……やばいねそれ。めちゃくちゃ良い。頑張る。行ってきます!」



 先生は照れたように頬を染めながら手を振って仕事に行った。


なんで照れていたのかはよくわからないけど、嫌がってたわけじゃないみたいだからまぁいいか。


 さて。私も準備して実家に行こう。片付けの続きをしないと。


食器洗いを終わらせた後にキッチンをサッと掃除して、私も家を出た。



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