とろけるような、キスをして。



 ん?と、手を伸ばして取って届いたメッセージを開くと、それは先生からのものだった。



"もう寝た?"



 同じ家にいるのに。変な感じだ。



"まだ起きてるけど"



 条件反射でそう返事をすると、すぐに部屋の扉をノックする音が聞こえる。


……しまった。普通に返事してしまった。


起きてると言った手前、無視をするわけにもいかない。


 ゆっくりとドアを開けると、先生が照れたようにな困ったような、そんな表情で頭を掻きながら立っていた。



「……その、眠れなくて……さ」


「……実は、私も」


「……リビング、戻るか」


「うん……」



 なんだか、とても気恥ずかしくて。


お互い顔を見ないまま、リビングに戻る。


間接照明だけが付いたリビングは、うっすらと寂しさすら感じた。


ソファに腰を下ろし、二人並んで無言で真っ暗なテレビを見つめる。



「……荷物はまとめ終わった?」


「……うん。とりあえずは」



 もう明日、東京に戻るのか。


次にこの街に来る時は、仕事を辞めて帰ってくる時だろう。



「……先生、寂しい?」


「……寂しいよ」


「私も、寂しい」



 一人でまたあの孤独としばらく戦わないといけない。


過ごしてみればあっという間かもしれないけれど、今の私にはそれがピンと来ていなくて。


先生にもまたしばらく会えなくなってしまうのが、とても寂しい。


この数日がとても楽しかったから、余計にそう思う。


 ソファの上で膝を抱えるように座る。そこに顎を乗せて、テーブルをじっと見つめた。


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