とろけるような、キスをして。



「みゃーこ、おいで」



 顔だけを隣に向けると、両手を広げてこちらに微笑む先生の姿。



「おいで」



 もう一度呼ぶ声が、とても優しくて。


寂しさに負けて、自ら先生の胸に飛び込んだ。


 甘い香りが私の肺を満たす。それは安定剤のように、私の心を穏やかにさせた。


 先生の胸元に当たる私の耳。そこから聞こえてくる、私よりも早い心臓の音。


ドク、ドク、ドク、ドクと短く早く。先生もドキドキしているのだろうか。



「……みゃーこ」


「……なに」


「俺、やばいかも」


「……なにが?」


「みゃーこの甘い匂い、やばい」



 私の頭の上に顎を乗せて、一つ、大きな息を吐いた。


そして耳元で、微かな声で囁く。



「───今日、みゃーこと一緒に寝たい」



 その声に、ピッタリと胸に付けていた顔を上げようとする。


しかし、先生が私の頭をぎゅっと押さえつけるように抱きしめるから、それは叶わなかった。



「俺も、明日からみゃーこがいないのがすげぇ寂しい」


「……うん」


「……でも、今みゃーこと一緒に寝たら、俺……この間みたいに我慢出来る自信が無い」



 その言葉の意味を理解した瞬間。私は上手く呼吸ができなくなった。


……もしかして、木曜日の夜のこと、覚えてるの?



「っ……」


「ごめん。こんなこと言ったってみゃーこを困らせてるだけだって、わかってんだけど。


……みゃーこが可愛すぎて、この匂い嗅いだらもう、理性持たない」



 その甘く切ない声を発しているこの人は、今一体どんな表情をしているのだろうか。


どんな想いで、私を抱きしめているのだろうか。


そう考えたら、言葉に言い表せない感情が胸の奥に広がる。それは、何と言えばピッタリ当てはまるのだろう。


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