とろけるような、キスをして。



「……みゃーこ。俺、みゃーこのことが好きだよ」



 目尻を下げて、告げられた気持ち。


 先生の言葉は魔法のようだと、今まで何度も思ってきた。


でもこれは、決して魔法なんかじゃない。


先生の、深山先生自身の覚悟と決意だ。


 それはスッと私の中に染み込んできて、そして頭を溶かすような甘さを残す。



「みゃーこが正式にこっちに戻ってくるまで言わないつもりでいたけど。やっぱもう無理。我慢できない」



 私の頰に添えられる手は、ほんの少し震えていた。


先生も、緊張しているのだ。



「せん……」


「ダメ。俺今は先生じゃないの。深山修斗なの。二人の時くらい、修斗って呼んで。大和は"大和さん"なのに、俺だけ"先生"とか嫌だ」



 いじけたような声に、私は思わず先生と呼びそうになってしまう口を押さえた。



「……修斗、さん」



 一度唾を飲み込んでから声を出す。



「うん。もう一度呼んで」


「……修斗さん」


「うん。今度からいつもそうやって呼んでね。学校以外で"先生"って呼ぶの禁止」


「……修斗さん」


「うん。なーに?みゃーこ」



 呼び慣れなくて詰まりそうになる私に、せんせ……修斗さんはとても嬉しそう。



「私。私……」



 何を言おうとしているかは自分でもわかっていなくて。でも何かを言わなくちゃ、って。そう思っていたら勝手に口が動いていて。



「あの……、えっと、えーっと」



 驚きと焦りからしどろもどろになってしまう私の口を。



「……んっ……!?」



 修斗さんの柔らかな唇が、塞いだ。


 目を見開く私の数ミリ先には、目を伏せた修斗さんの顔。再び後頭部に回った大きな手が、私を逃すつもりはないと言っているように抑えていて。


 キスをされている。


温かくて、少しカサついた唇。それが離れた時にやっと理解して。


 その事実が、私の言葉を止めた。


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