茨ちゃんは勘違い
「城山さん遅いなぁ...」

遅いというレベルを超えている気もするが約束の時間を全く守っていない茨に対し、木更津が抱いている感情は憤りとは別物であった。

茨に早く会いたい...そして、サファリパークを一緒に見て周りたい...。

遠足を目前にした小学生のように楽しみにし過ぎたのか、木更津の目の下にはクマが出来ている。

木更津の心は既に茨という残念な少女に奪われていた。

木更津が今日三桁目の溜息を吐いたか吐かなかったぐらいのタイミングだった。

突然視界を奪われ、暗闇に包まれたかと思うと、素っ頓狂な声が耳元で響き渡った。

「だぁーれだっ♡」

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