茨ちゃんは勘違い
 そうは、思っても聞き覚えのある声だったので、出来る限りやさしく、慎重に百合絵は言葉を選んだ。
「そ、そんな事ないよ。木更津君、迷惑だったらデートなんか誘わないよ」
「……ううん、きっと同情よ……木更津君優しいから……」
「同情って……同情でクリスマスにデート?」
 百合絵は話している内に、段々苛々してきた。
「あのねぇ……同情で時間割いてもらっているだけいいじゃない!!」
 百合絵はドアをガンっと殴った。
 そりゃもう、あのストレス解消グッズに仕向ける圧倒的暴力を奮う時のように。
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