茨ちゃんは勘違い
「春海!畑山も!さっさと戻れ!!」
「す、すみません。ほら隆文!行くよ!」
「あ~引っ張るなよ~袖が伸びる~」
「五月蝿い!」

如何にも体育教師のようなジャージ姿の担任が注意すると、畑山と呼ばれた女子生徒は春海と名乗った男子生徒の腕を掴み、ズルズル引き摺っていった。

嵐のような数分の出来事であったが、すぐに仕切り直し、入学式は無事に(?)幕を閉じた。

二年、三年は春海・畑山によるコンビ漫才を見慣れているらしく、至って平常心だったが、入学式を終えた一年生達の心は一つであった。





『この学校…大丈夫なのか?』





そして悲劇のヒロインこと、百合絵はというと、今からでも転入届けを出して他所の学校へ通おうか模索しているところであった。

「ゆりちゃん、この学校楽しいとこだね」

約一名が能天気にほざいているので、高速回し蹴りで昏倒させてやろうかとも思ったが、やめておいた百合絵であった。
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