茨ちゃんは勘違い
校門の前まで来た時はまだHR開始30分前で、余裕も余裕。

体育会系の部活動は、朝練をやっている時間だったりした。

校門を潜り、直ぐ右手西校舎と体育館を繋ぐ渡り廊下を通り抜け、校庭に隣接した東校舎に一年の下駄箱はある。

二年・三年の下駄箱、西校舎と分けてあるのは、上級生の陰謀なのか、はたまた一年の内に少しでも体力をつけて欲しいという教師の余計な計らいなのかは分かりかねるが、兎も角そんな造りになっていた。

二日目にして、そんな些細な事を始めに色々嫌気がさしている百合絵だったが、入学式と同じく、取り敢えず楽しい事を考えながら教室に向かうつもりでいた。

下駄箱で上履きに履き替えようと、ロッカーに記載された組出席番号を目で追う。

(1B17…1B17…)

まだ然程馴染みの無い英数字を意識して思い出しながら自分の靴入れを探していると、背中越しから声を掛けられた。
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