茨ちゃんは勘違い
「さっき『城山さん』の事で話してなかった…?」
「ははははははいぃっ!!話話話話話してました!!」
「…教えて…くれない…?」
「おおおおおお教え教え教えます!教えますから殺さないでぇえぇっ!!」

女子達の目には、百合絵が化け物にしか映っていない。

百合絵にそんな気はサラサラ無くても、一瞬で恐怖を刷り込まれた女子達にとっては驚異の対象だ。

百合絵は、ただならぬ生徒の反応を見ると、ようやく状況を把握し、一度大きく溜め息を吐くと、いつもの(造り)笑いをした。

「あ、ごめんなさい。いきなりこんな事訊いてビックリしちゃったのかな?」
「…。」
「…。」

百合絵が言ってる事は少しズレているのだが、怯える二人は無言でコクコク頷いた。

まだ、下手な事を言ったら殺されると思っているらしい。

「えと…驚かすつもりは無かったんだけど、私、城山さんを捜しているの。何処に行ったか知らない?」

笑顔で尋ねる百合絵。

二人には、「言わなきゃ殺ル」という風にしか聞こえない。

「ににににに西!西校舎!西校舎です!!」



ガクガクブルブルガクブル…
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