茨ちゃんは勘違い
百合絵の『顔芸』に近い造り笑いも虚しく、女子達の恐怖は全く拭えないでいるが、取り敢えず今は構っている時間が無い。

(西校舎…二年か三年の教室へ向かっているという事?)

被害が広がる前に、食い止めなくては…

「ありがと。それと引き留めてごめんなさい」

百合絵は簡単に礼をすると、西校舎へと走り去って行った。

解放された二人は、百合絵の姿が見えなくなった事を確認するなり、緊張の糸が切れて、その場にへたりこんだ。

「白石…百合絵…」
「噂には聞いてたけど…」
「「噂と話が違うよぅ…」」

大方、二人が聞いた噂というのは普通に美少女とかそんな噂だった筈なのだが、完全にイメージが壊れてしまった。

余談だが、その後、この二人が百合絵に出会った話が広まる事により、百合絵の評判を大きく下げる事になるのであった。
< 59 / 224 >

この作品をシェア

pagetop