茨ちゃんは勘違い
「そうですか。それならば私も全力で催眠術をかけましょう。私にも催眠術師としてのプライドがあるのでね」

それを聞いた女優は、眉を八の字にして足を組み変えて、眼光をニラレヴァに浴びせる。

同じく、茨も頬を膨らませ、眼が飛び出るぐらいニラレヴァをガン見した。

その拍子にさらに力んだせいで、ブーさんの左腕と右足がもげた。

ブーさんのハラワタ(文字通り腹綿)が、飛び出て、非常に可哀想な事になっている。

ニラレヴァは首にかけていた水晶のネックレスを徐に外すと、女優の眼前に垂らした。

揺れる水晶の玉。

女優がそれをジッと見つめる。

茨も見つめる。

ブーさんの尻尾がもげる。

茨の母親は鼾が変なタイミングで止まる。

カメラが接近し、ニラレヴァの顔をドアップで映す。

ボソボソと喋るニラレヴァの後に続いて、通訳が訳していく。

「貴女は…この世で一番美しい人になります…この世の全ての男がひれ伏し、貴女に逆らう事が出来ない位の美人に…そう、貴女は全世界の頂点に立つ、絶世の美女、いや女王様になるのです!貴女が今から目に映るもの全ての男子が、家来…いや、奴隷…いや、家畜以下に見えるようになります!私が手を叩いた瞬間、貴女は女王に変身します!」

目がトロンとしていく女優、茨…目が取れているブーさん…目を瞑ったままの母親…

ニラレヴァが催眠術をかける最後の動作に入る。










パンっ。










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