茨ちゃんは勘違い
「やーだーとーぼけちゃってーあ・た・し・に、ラブレターくれちゃったりしたでしょ?」

舐め回すように甲斐の顔をまんべんなく見た後、にこやかに答える茨。

視線が交わる毎に、甲斐の身体全体に、戦慄が走る。

「ば、馬鹿言うな!僕が出したのは君じゃなくて一年の白石…」
「またまたー知ってる恥ずかしがらなくていいから、言ってごらんなさい?アタシが好きだって事」



ざわざわ!



茨の発した妄言に釣られた生徒達が、騒めき出した。

「あ、あの甲斐が、ペ○ちゃん人形とゴリラを足して二で掛けたような女にラブレター!?」
「う、嘘だろ?甲斐はラブレター何か出さなくても黙ってりゃホイホイ告られるような男だぞ!?」

それに対し、甲斐が慌てて否定する。

「違う!違うんだ!この女が勝手に言ってるだけで、僕は…」

しかし、それを茨が遮った。

「ん~甲斐ちゃん。中々良い男ねぇこのスカウターでもAA+を叩き出す事なんか滅多に無いわよ~~」

茨はコメカミあたりを指でスイッチを押すような仕草をすると、溜め息を吐いた。

「…でもゴメンね…」

いきなり謝られて甲斐の顔がアホ面になった。
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