茨ちゃんは勘違い
その女子生徒は、まるで自分の部屋に入るように躊躇う様子も無く堂々と上級生のクラスへ乗り込んできた。



ガラッ!



やっぱり、城山茨である。

「木更津さ~ん!木更津甲斐さ~ん!出~てお~いで~」

と、茨が手でメガホンを作り叫んだこの瞬間は、二年D組の生徒の動きが止まった。

一体、何事か。

勿論義和の時同様、呼ばれた本人である甲斐は目を疑った。

(…誰???)

美少女意外目もくれない、とても面食いな甲斐にとって、茨の容姿は衝撃的だった。

この学校に、いや日本に、いや地球上の生物の中に、あんな顔の異性が居たのかと。

これまで空気と同じ感覚で見ていたであろう種類の茨という人物を、こんなマジマジと見る機会はこれまでに無かった為、ちょっと物珍しい気持ちもあったりした。

それもすぐに後悔に変わるのだが。

「甲斐君なら…そこの…」

と、一人の女子生徒が指差した事により、茨と目が合う。



キラーん☆



「はっけーん!!!」

と、物凄い勢いで自分の目の前に現れた茨に、甲斐は度肝を抜かれる。

「な、何だよ君は!?僕に何か用!?」

茨が顔を近付けた分、身を引いて甲斐が違う意味でドキドキしながら訊く。
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