君にとってのハッピーエンド、僕にとってのバッドエンド
さりげなくアプローチをしてきたつもりだけど、若菜の口から「好き」という言葉は出てこなかった。だからきっと、若菜は僕が若菜に恋をしているなんて知らないんだ。

「でも、日本にようやく帰って来れたんだ!若菜を振り向かせる!」

若菜が恋人として僕の隣で笑ってくれたら、こんなにも幸せなことはない。一緒に暮らして、一緒に生きていけたら、もっと嬉しい。

そんな甘い想像をして胸を高鳴らせながら、僕は待ち合わせしたレストランへと向かう。個室もあるちょっと高めのレストランだ。

僕が行くと、若菜はすでに待っていてくれていた。ウエストにミントグリーンのリボンが結ばれており、小花柄の可愛らしいワンピースを着ている。僕が日本を出国する時に短かった髪は長くなり、低い位置でお団子に結ばれていた。

「若菜……!」

胸が高鳴り、足が自然と早くなる。三年ほど会ってないうちに、若菜はさらに可愛くなっていた。想いが口からあふれてしまいそうになっていく。

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