ねこねこ幼女の愛情ごはん〜異世界でもふもふ達に料理を作ります!〜3
 くるくると追いかけっこをしながら、ふたりはルディの立つ道沿いの家に到達した。

「やっほールディ隊長、今夜もお仕事おつおつー!」

 クー・シーは人懐こくルディに声をかけると、彼の前に着地して「僕の勝ちー!」と嬉しそうに言って飛び跳ねた。そのあとに、唇を尖らせたエリナが「また負けちゃった」とふわりと降ってくる。

「ルディさん、こんばんは。今夜も王都の安全を守ってくださって、ありがとうございます」

 しなやかな仕草でクー・シーを抱き上げると、白猫エリナ……ルディにはまだ、真名であるフェアリナを伝えずに『フェア』と名乗っている美少女猫は、笑顔で警備隊長に挨拶をした。

「ねえルディさん、今夜は月が明るくて素敵な夜ですね。青い月も黄色い月もまんまるだわ」

 地球育ちのエリナ……フェアにとって、ふたつの色違いの月は珍しくてとても綺麗に思えた。

「うんうん、猫の瞳のようにまんまるな月だよね。犬の瞳はこんな風にはまんまるにはならないけど」

「そうね。狼の瞳はどうなのかな?」

 瞳をきらめかせながら、可愛らしい不思議な少女にそんなことを言われて見つめられ、ルディは緩んでしまいそうな顔をなるべく厳しく保とうと努力しながら「そうだな、狼の瞳もまるくはならないな」と答えた。

 ちなみに彼は、フェアとクー・シーに『夜中にあまり出歩くものじゃない』などという真っ当な注意をするのは諦めていた。

 いや、しようとしたことはあるのだが、フェアに大真面目に「これは単なる散歩ではなく、わたしの訓練なんです。とても大切なことなんです」と説明され、しかも彼らの姿を他の警備隊員たちが一度も彼女を目撃できていないことを知って、これは自分の手に負える相手ではないと本能的に理解したのだ。
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