冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
ホテルへ戻るとそのまま部屋へ入る。


私はソファに座らされ、目の前に跪く響さん。
膝の上の私の手に響さんは手を重ねてきた。

「ごめん、我慢できなかった…。あんなやつに玲奈を見られてるかと思ったら。それに俺がいるのに投げキスまでしてきやがって。」

「意味のない投げキスでしたよ。私がきっと食い入るように見てたからおかしかったんでしょう。」

「いや、違う!」

「そんなことないですよ。私に限って。」

「玲奈は自己評価が低すぎる。」

「そんなことないです。自分のことは自分が一番分かっています。」

「分かってない!俺がこんなにも玲奈のことが好きなことも気がついていないんだから。」

え?
私は固まってしまった。
まさか…。

「今朝言ったことは本当だ。本当の新婚旅行にしたい。情に流されたわけでもほだされたわけでもない。身近にいるからじゃない。玲奈だから…俺は玲奈だから一緒にいたいと思った。家に帰って玲奈がいると幸せな気持ちになるんだ。玲奈と食べるご飯が楽しくて美味しくて…話も俺が欲しい答えやアドバイスがもらえるんだよ。痒い所に手が届くってこう言うところなんだと思う。俺はあと3ヵ月で玲奈を手放すことは出来ない。このまま俺と人生を共にしてもらえないか?」

「……」

「玲奈が俺のことをなんとも思ってないことは分かってる。契約だから、と思ってくれてることも。でも俺はもう契約という言葉だけでは満足できない…。俺個人を見てくれないか?契約のことは忘れてくれないか?」

「でも…私と響さんは身分が違いすぎます。私は何もないんです。だから無理です。」

「身分って何?俺が会社を継ぐから?継がざるを得ないからであって俺が作ったわけでもない。それに玲奈は何もないなんてことはないよ。俺には玲奈がいてくれるだけで毎日が憂いのあるものになる。生きてると感じることができるんだ。玲奈がいない家に帰ることはもう想像したくもないんだ。」

「響さん…。」

「玲奈。契約を忘れてくれないか。俺と対等に、向き合って俺を見てくれないか?もちろん玲奈を手放すつもりはない。でも…俺と言う個人を見て考えて欲しいんだ。チャンスをくれないか?」

「響さん。私も響さんが好きです。言ってはならないこと、思ってはならないこと、と気持ちを押し殺してました。響さんに手を繋がれ、出かけるたびに胸がキュッと苦しくて切なくて。契約妻として扱われてるんだと思うけれど嬉しい自分もいて…毎日が複雑な気持ちでした。借金から助けてもらい契約妻としての役割を果たさなければならない、と思うのに響さんに惹かれてしまいました。気持ちを抑えなければ、と毎日葛藤していました。」

「玲奈…まさか…こんな嬉しいことが聞けるなんて。」

響さんは膝立ちになり、ソファに座る私をぎゅっと抱きしめてきた。
力強い腕だが私を抱きしめる力は包み込むような安心感がある。
いつもの響さんの香水がほのかに香る。
私も響さんの腰におそるおそる手を回してみた。
すると響さんはもっとギュッとしてきた。

「玲奈が好きだ。玲奈。俺を見てくれ。」

「私も好きです。響さんが好き。」
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