冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
私たちはタブラオに入り、食事を楽しみながら、お酒を飲み、フラメンコを観た。
感情のある踊り…
嬉しさや悲しさをありのままに踊りで表現する。
私の心をグッと掴んでくるような踊りに今日も見入る。
昨日の洞窟の中とは雰囲気が変わり周りの掛け声に臨場感が伝わってくる。
私も手拍子自体が独特のリズムのため入れない。仲間に入りたい、と食い入るように観ていると舞台の上から投げキスが飛んできた。

ウフフ、なんて粋なのかしら。
私の迫力にダンサーたちも苦笑いなのだろう。
目が合うと笑っており、私も肩の力が抜け、ついフフフと笑う。

すると横から響さんが私の肩を抱いてきた。

ん?!

驚いて彼を見上げると私を見つめている。
抱き寄せられた手には力が込められており、私を包み込み離さない。

視線はダンサーにも向けまるで威嚇しているよう。

なに??

私は少し距離を取ろうと離れようとするが許されない。抱かれた肩に力が入ったままの響さんに身動きが取れない。

ダンサー達は私たちを見つめニヤリとしている。

なんなのー?!

佳境に入りタップの音は高速で響き渡り、手拍子や掛け声も盛り上がってきた。
でも私はこの抱き抱えられた状態で落ち着いて見ることができずドキドキが止まらない。

終わると同時に響さんに立ち上がらされた。
出口へ促され、そのまま肩を抱いた状態でホテルまで戻る。

何も話してくれない。

無言で歩く。

何か話さなきゃ、と思うがドキドキしていて思いつかない。

いつのまにかタクシーに乗せられているが肩は抱かれたまま。

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