冷徹御曹司の溺愛は突然に、烈火のようにほとばしる~愛なき契約夫婦の艶美な一夜~
病院に到着すると救急の医師が待ち構えており、俺は待合室で待つように言われ、玲奈は診察室へ運ばれて行った。

どれだけ待っただろう。
まだなのか、と思っていたら玲奈の両親が到着した。

「おい!玲奈は?玲奈はどうした?!」

「まだ診察室の中です。検査中みたいです。」

「なんでこんなことに…。」
お母さんは泣きながら膝から崩れ落ちた。

お父さんはお母さんを抱えベンチに座らせた。

「君!玲奈はどうしてこんなことになったんだ。」

「わかりません。たしかにこの2週間体調を崩してました。昨日は立ちくらみもあり、今日東京に帰り明日病院に行こうと話してました。」

俺が話すとお父さんもお母さんの隣に座り頭を抱える。

沈黙がどれほど続いただろう。

看護師が声をかけてきた。
「弓川玲奈さんのご家族様。先生から説明があります。お入りください。」

「はい。妻の両親もいいでしょうか。」

「はい。どうぞお入りください。」

3人で面談室へ通され入ると医師が座っており、説明が始まった。

玲奈は妊娠しており、重症妊娠悪阻の状態だったと言う。その上切迫流産の状態だと説明された。
 
食事が取れておらず水分もままならなかったらしいが俺はそこまでとは気が付かなかった。

赤ちゃんの心拍は確認できているが出血があり、このままだと完全流産へ移行するとのことだった。
悪阻の状態も悪く、ひとまず点滴をし、脱水や体のバランス補正をしていくとの事だった。
また流産を食い止めるための点滴も24時間することになった。

「意識は戻りましたよ。ご本人は妊娠を知らなかったようですね。もう少ししたら産婦人科の病棟に移りますので面会できますよ。」

「ありがとうございます。よろしくお願いします。」

「ご主人、奥様だいぶ頑張っていたみたいなので無理しないように声かけてあげてくださいね。」

「はい。本当にありがとうございました。」
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