別に好きじゃないけど…
「先輩、今日も告白しに来ましたよー!」
「もう日課だな」

再び昼休みの屋上にて。

先輩はいつもお昼休みは屋上にいる。

2週間毎日同じことをしていると、
日課と言われても仕方がない。

「あの変なメイクやめたんだな」
「変なって…」

「自分の顔見て、あれ似合ってると思ってた?」
「それは…でも先輩ってああいうメイクの子好きだと思って…」

「ふーん…、俺の為にメイクしてくれたんだ?」
先輩は意地悪そうな顔で私の顔を覗き込んできた。

「だって、いつも振られるからメイク変えたらいけるかなって…」
「そんなに俺の事好きなの?」

先輩は私の顔をじっと見つめた。
そんなにきれいな顔で見つめられるとドキドキしてしまう。

「す…好きです。悪いですか?」
「なんかさー…お前の告白聞きすぎて、
もはや日課じゃん。ときめきがないんだよなー…」

「はっ!?それは困るんですけどっ!」
「もっとさ、いつもと違う感じで俺の事楽しませてよ?」

いつもと違う…といきなり言われても…。

私が悩んでると先輩は横で欠伸をし始めた。
正直いらっとする。

「あの…聞いてもいいですか?」
「なに?」

「先輩は私の事嫌いですか?」
「別に嫌いじゃないよ」

そっか、嫌いじゃないんだ。
良かった。
私にもチャンスはあるってことだよね?

「じゃあ好き?」
「…そんなに俺に好きって言われたいの?」

先輩は意地悪そうに聞いてきた。
私が質問したのに。
なんかずるい。

「言われたいって言ったら?」
「どうしよっかなー…?」

「ジュースくらいならおごってあげますよ!」
「ぷっ……お前ホント変なやつ。
ジュースで釣ろうとするなよ。ガキかよ」

先輩は突然噴き出す様に笑い出した。

「そんなに笑わなくても…」
「あー…ごめん。ホントいいキャラしてるよな、お前。
友達に欲しいタイプかも」

「友達…」
「ねぇ、友達じゃだめ?」

「友達はやだ」
「……そっか、残念」

やっぱり私には無理なのかな。
全く相手にされてない感を半端なく感じる。

「ねぇ、落ち込んでるの?」
「ちょっ…別に落ち込んでなんかないし…」

私が俯いてると先輩は顔を覗き込んできた。
いきなり綺麗な顔が目の前にあってドキッとして一歩後ろに下がった。

「顔真っ赤…かーわいい」
「うるさいっ、赤くないしっ!」

顔がどんどん熱くなる。
そんな私の反応を先輩は楽しんでる。
悔しい!

「耳まで真っ赤だけど?」
「そんなことないしっ!」

先輩はクスっと笑った。

「素直じゃないね」
「意地悪な所は嫌いですっ」

むっとしながらそう言うと、先輩はおかしそうに笑っていた。
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