別に好きじゃないけど…
『ねぇ、あの子でしょ?』
『そうそう、懲りずに日高君に告白してる子』
『でもあの子って愛音の妹でしょ?全然似てないよね』
『私もそれ思った!』
『愛音の評価下がったら可哀そすぎー!』
『残念な妹だよね、あははっ』
はいはい、わかってるよ。
そんなこと。
いちいち私に聞こえるように言ってくんなよ。
ばーかばーか!!
心の中で文句を言っていた。
意外と私は小心者なのかも。
「気にすんなよ」
「別に気にしてないもん」
私の隣を歩く玲央は小さくそう言った。
いつだって玲央は私の事を気にかけてくれてる。
本当に良い幼馴染を持ったって思う。
「顔に皺よってるぞ?」
「うそっ!?」
「嘘だけど」
「ちょっとっ!」
意外と玲央も意地悪な所あるんだよな。
私は苦笑した。
「あんな噂されてるし、もういい加減やめたら?」
「…言いたい奴には言わせとけばいいんだよ!」
「セリフだけはかっけーな」
「だってさー…ここまで来たらなんか引けないじゃん」
先輩は絶対に私の告白にいい返事はくれないけど
嫌われないことはなんとなくわかる。
むしろ、ただからかわれてるだけなのかもしれないけど…
先輩が私に強く言えないのは
お姉ちゃんの妹ってだけなのかもしれない。
昔からお姉ちゃんと先輩が仲良かったのは知ってるし。
先輩には悪いけど利用されてもらうしかない!
ここで止めたら本当にただの『残念な妹』で終わってしまう。
それだけは嫌だった。