騎士のすれ違い求婚

長年の思いをこめて。

彼の唇が、大事にそっと、でも、もう抑えられない気持ちに突かれて触れる。
さらりと、しかし執拗に。
優しく甘く、獰猛に。

重ねるだけでは、とても、済ませられない。

喰んで、すすんで、味わって、離れがたい。

彼はティアの唇を自分の唇でこすりながら、熱くため息をつく。

「困ったね、
触れても触れても、もっともっとと足りない、
余計苦しく渇望する」

唇はそのまま頬を、顎を、こめかみを、髪をたどり、

「もう、あなたをこのまま連れ帰ってしまいたい」

とジュシアノールがティアの耳に抑えがたく、熱く囁く⋯⋯ 。

ティアは体を震わす、すべてをジュノ様に預けて、

「私はジュノ様のもの」

としがみついた。

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