託宣が下りました。
「それで、どうしたの? わざわざカイ様まで」
「話が宙ぶらりんになってたからさ。はっきりさせとこうと思って」
ラケシスは重々しい声音。わたくしも、たった今考えていただけにすぐにぴんときました。
「……わたくしたちの馬車を襲った人たちの正体ね?」
肯定のうなずき。そして、
「カイ様、ひとつお伺いしたい。今回狙われたのは――私ではなく、姉ですね」
「は、いえ、あの」
カイ様はとても気まずそうにわたくしを見ました。
その目はどんな返答よりも雄弁でした。
(――わたくしを?)
信じられない思いが胸を埋め尽くします。だって、なぜわたくしなのでしょう? 託宣を無効と言い渡され、国中の前で恥をかいてすごすご故郷に帰っていく元巫女の命を取ろうなんていう輩が、はたしているのでしょうか。
「やっぱり」
ラケシスはうなずきます。わたくしは「どうして分かったの?」と妹の腕を掴み尋ねます。
「カイ様が『言えない』と言ったからだよ。たぶん相手は身分が高いんだろうと考えた。そして……そっちの子が、思わせぶりなことを言っていたからね。『邪悪は聖女を妬む』――相手は姉さんを妬んでいる人間だ」
「……ソラさんの言葉はあまり気にしないほうがいいと思うけど……」
「失礼だぞ巫女よ。託宣ならば我もできる。ただし我の託宣は邪悪による魔の福音」
自分の世界に入ってしまったソラさんの隣で、カイ様がますますうつむきました。
……どうやら図星、のようです。
ではソラさんまで、それを知っているのでしょうか? わたくしを狙った相手を。
ラケシスは立ち上がり、カイ様をにらむように見下ろしました。
「はっきりお聞きします。姉を狙ったのは王女エリシャヴェーラ様ですね?」
―――!
「ラケシス! いくらなんでもそれは――!」
非難の声を上げたわたくしの向かいで、ソラさんが「ほう」と感心したように大げさに眉を上げました。
「聖女の妹は賢者なり。わずかな手がかりを大いなる光へと導く」
それは――当たり、ということ……?
そんな。冗談でしょう?
「そんなはずがないわ。だって王女様とは一度もお会いしたことがないのよ!」
わたくしは激しく首を振って否定しました。けれど、
「……お願いですから、大きな声では言わないでください」
カイ様がため息をつきました。
それが、答えのすべてでした。
「話が宙ぶらりんになってたからさ。はっきりさせとこうと思って」
ラケシスは重々しい声音。わたくしも、たった今考えていただけにすぐにぴんときました。
「……わたくしたちの馬車を襲った人たちの正体ね?」
肯定のうなずき。そして、
「カイ様、ひとつお伺いしたい。今回狙われたのは――私ではなく、姉ですね」
「は、いえ、あの」
カイ様はとても気まずそうにわたくしを見ました。
その目はどんな返答よりも雄弁でした。
(――わたくしを?)
信じられない思いが胸を埋め尽くします。だって、なぜわたくしなのでしょう? 託宣を無効と言い渡され、国中の前で恥をかいてすごすご故郷に帰っていく元巫女の命を取ろうなんていう輩が、はたしているのでしょうか。
「やっぱり」
ラケシスはうなずきます。わたくしは「どうして分かったの?」と妹の腕を掴み尋ねます。
「カイ様が『言えない』と言ったからだよ。たぶん相手は身分が高いんだろうと考えた。そして……そっちの子が、思わせぶりなことを言っていたからね。『邪悪は聖女を妬む』――相手は姉さんを妬んでいる人間だ」
「……ソラさんの言葉はあまり気にしないほうがいいと思うけど……」
「失礼だぞ巫女よ。託宣ならば我もできる。ただし我の託宣は邪悪による魔の福音」
自分の世界に入ってしまったソラさんの隣で、カイ様がますますうつむきました。
……どうやら図星、のようです。
ではソラさんまで、それを知っているのでしょうか? わたくしを狙った相手を。
ラケシスは立ち上がり、カイ様をにらむように見下ろしました。
「はっきりお聞きします。姉を狙ったのは王女エリシャヴェーラ様ですね?」
―――!
「ラケシス! いくらなんでもそれは――!」
非難の声を上げたわたくしの向かいで、ソラさんが「ほう」と感心したように大げさに眉を上げました。
「聖女の妹は賢者なり。わずかな手がかりを大いなる光へと導く」
それは――当たり、ということ……?
そんな。冗談でしょう?
「そんなはずがないわ。だって王女様とは一度もお会いしたことがないのよ!」
わたくしは激しく首を振って否定しました。けれど、
「……お願いですから、大きな声では言わないでください」
カイ様がため息をつきました。
それが、答えのすべてでした。