託宣が下りました。
だいたいこの国は、とラケシスの苛立ちの対象はだんだんと大きくなっていきました。
「――この国の王宮はどうかしてる! あんな長男と長女でこの先やっていけると思っているのか」
「ラ、ラケシス」
こうなってしまうとこの妹は止まりません。ひとしきり言いたいことを吐き出してしまうまで独壇場です。でも……
わたくしはラケシスの言葉を聞きとがめました。
「ご長男とご長女? それって王太子様とエリシャヴェーラ様のことじゃ」
「そうだよ」
「……何か、問題があるの?」
自慢ではありませんがわたくしは一般人です。しかも二年前まではサンミリオンから出たことなどなく、正直王族の方について『王族が提供してくれる』話題以上のものを知りません。
一般に言われる話では王太子シュヴァルツ様は立派な跡継ぎであらせられるし、エリシャヴェーラ様は大人しやかな淑女のはずなのですが……
わたくしのきょとんとした反応に、ラケシスは口をひん曲げました。
「……姉さんが王都に行ったあとにね。王太子たちがうちに来たことがあるんだよ」
「え?」
「ほら、うちの町は育児関連で成功しただろう。それについてぜひ話を聞きたいとかで、半年前に」
育児――。
出生率が増大したこの国の中でも、サンミリオンは育児の福祉関連をいち早く強化した町でした。育児に関するあらゆる可能性を模索した結果、失敗ももちろんありましたが、総合的にうまくいったのです。
父いわく、この町は自給自足のできない町だけに、なおさら人口の増加は歓迎だとのこと。働き手の増加は町のためになる、と。
そんな父の信念が幸運にも実を結んだと言えるでしょう。それにしても、まさかそれで王宮から人が来るなんて。
「本当はシュヴァルツ様と大臣だけがお付きの人をつれて来る予定だったんだけどさ。エリシャヴェーラ様もついてきたんだよ。『観光がしたい』とか言って」
「観光……?」
わたくしは首をひねりました。我が町のことながら、観光地などあったでしょうか。まったく思いつきません。
ラケシスは――
拳で力いっぱい傍らの小テーブルを叩きました。
「――この国の王宮はどうかしてる! あんな長男と長女でこの先やっていけると思っているのか」
「ラ、ラケシス」
こうなってしまうとこの妹は止まりません。ひとしきり言いたいことを吐き出してしまうまで独壇場です。でも……
わたくしはラケシスの言葉を聞きとがめました。
「ご長男とご長女? それって王太子様とエリシャヴェーラ様のことじゃ」
「そうだよ」
「……何か、問題があるの?」
自慢ではありませんがわたくしは一般人です。しかも二年前まではサンミリオンから出たことなどなく、正直王族の方について『王族が提供してくれる』話題以上のものを知りません。
一般に言われる話では王太子シュヴァルツ様は立派な跡継ぎであらせられるし、エリシャヴェーラ様は大人しやかな淑女のはずなのですが……
わたくしのきょとんとした反応に、ラケシスは口をひん曲げました。
「……姉さんが王都に行ったあとにね。王太子たちがうちに来たことがあるんだよ」
「え?」
「ほら、うちの町は育児関連で成功しただろう。それについてぜひ話を聞きたいとかで、半年前に」
育児――。
出生率が増大したこの国の中でも、サンミリオンは育児の福祉関連をいち早く強化した町でした。育児に関するあらゆる可能性を模索した結果、失敗ももちろんありましたが、総合的にうまくいったのです。
父いわく、この町は自給自足のできない町だけに、なおさら人口の増加は歓迎だとのこと。働き手の増加は町のためになる、と。
そんな父の信念が幸運にも実を結んだと言えるでしょう。それにしても、まさかそれで王宮から人が来るなんて。
「本当はシュヴァルツ様と大臣だけがお付きの人をつれて来る予定だったんだけどさ。エリシャヴェーラ様もついてきたんだよ。『観光がしたい』とか言って」
「観光……?」
わたくしは首をひねりました。我が町のことながら、観光地などあったでしょうか。まったく思いつきません。
ラケシスは――
拳で力いっぱい傍らの小テーブルを叩きました。