託宣が下りました。
「お前、何でそんなことまで知ってるんだ」
アレス様が呆れた声音で言いました。その隣のカイ様の態度を見ても、彼ら二人は知らなかったことのようです。
しかし、騎士も呆れた様子でアレス様を見返しました。
「馬鹿だな。そんなもん実際に酒場で人間と付き合っていれば簡単に分かることだろう?」
「私たちはお前みたいに毎晩酒場に入り浸ってないんだよ」
アレス様が脱力したように肩を落としました。
騎士が毎晩酒場に入り浸り……。何だかものすごく想像がつく光景です。
ついでにそこで大量の友人を作る騎士の姿も。
騎士はアレス様の前にあった紅茶を奪い一気に飲み干しました。目をむくアレス様の前で、紅茶のカップを置き、おごそかに言います。
「とにかくだ。何が原因だろうと託宣は下った、魔王を倒す以外に道はない」
「それはそうだがお前、人の紅茶」
「細かいことは気にするな。でだ、巫女」
「人の紅茶!」
アレス様の非難の声を完全無視して、騎士はもう一度わたくしのほうを向きました。
わたくしはついソファの上で後ずさりました。
「な、なんですか」
「一緒に王都に帰らないか。変装して」
「…………は?」