託宣が下りました。

 勇者一行で騎士と呼ばれる存在はたった一人。意気揚々と素振りをする男の子の姿が、なんだかまぶしく見えます。

「ソイはヴァイスが好きなのよね」

 マリアンヌさんが笑いました。「凱旋式を見たんだものね、ソイは?」

「うん! 騎士さますっごくかっこよかった!! 魔物をね、こうやってね、えーいっ!」

 ひときわ力強い一振りは、この一瞬だけ彼を戦士に見せそうなほど気合いがのっていました。そこからひたすら「やーっ!」「とーっ!」と繰り返す彼をくすくす見ながら、マリアンヌさんがわたくしにこそっと口元を寄せます。

「一年前の凱旋式には子どもたちも呼ばれていたでしょう。あの式の最中にね、魔物が乱入したの」
「え――」

 そんな話は聞いたことがありません。わたくしが目をみはると、マリアンヌさんは苦笑しました。

「表向きには『()()()()()()()()()()()』ということになっているわ。魔物も全部魔術で作った偽物ってことにして、王宮はごまかしたの。実際には魔王軍の残党が最後の力で襲ってきたのね」

「………」

 言われてみれば……『凱旋式で面白い余興があった』『勇者様のお力を実感できる催しがあった』などと、凱旋式に出席していた母が興奮して言っていた気がします。

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