託宣が下りました。
「他に情報はないのかウォルダート?」
騎士はわたくしの肩を抱きながら話を促しました。優秀な家人は、白髪のまじった眉を軽くひそめて、
「大変申し上げにくいことですが……ラケシス様には王太子暗殺の疑惑がかけられております。見つかったのが、王太子の部屋の真下だったそうです。捕らえられたときラケシス様は小ぶりの剣を携帯していらっしゃいました」
「な」
声が喉に貼り付いたように固まって、吐き出したくても何も出てきません。
嘘よ、うそ。そんなこと、あるはずがない。
王太子暗殺だなんて、ラケシスがそんなことを考えるはずが――。
「――絶対にありえません。何かの間違いです」
強ばった声で、ようやくそれだけを口にしました。
呼吸が浅くなり、動悸がします。こめかみがどんどんと痛くなってくる。
騎士はわたくしの肩を軽く撫でながら、思案するようにあごに手を当てました。
「巫女よ、ラケシス殿はレジスタンスと関わりを持ったことがあるか?」
「……っ、う、疑うのですか?」
「いいや。もしもレジスタンスと関わったことがあるのなら、ラケシス殿の立場がますます悪くなるという話だ」
「―――」
王権反対派――レジスタンス。この国にも小さくですが、そんな集まりが存在します。