託宣が下りました。

 特に近年は活動が活発化しているという話も聞きます。それらもすべて、現王太子が頼りないからだと――

 そう、わたくしにそう教えてくれたのは、他ならぬラケシスだったのです。

「……直接には関わっていないはずです……。少なくとも、わたくしの知る限りでは」
「ふむ。関わりがないことを祈るしかないな」

 騎士はあごから手を離し、「俺からも王宮に、よく調べるよう言っておこう。アレスも巻き込んでおくか――カイは放っておいても行動するだろうから」

 安心しろ巫女よ、と騎士は強くわたくしの肩を抱き寄せました。まるで襲い来る不安の嵐からわたくしを守ろうとするかのように。

「即刻処刑されるようなことは決してさせない。王宮には弱みが多いからな」

 そう言ってにんまりと笑った騎士。
 ……何をたくらんでいるのでしょうか。別の不安が襲ってきて、わたくしは小さくため息をつきました。



 結局その後、わたくしは騎士の家で待機することとなりました。

 サンミリオンの父母が心配でしたが、父母からすれば、へたにわたくしに出歩かれるよりもこうしたほうが安心のはずだと騎士に説得されたのです。

「俺の元にいることは報せておくから大丈夫だ。つらいだろうが、待機していてくれ」

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